玉木雄一郎は、自分自身に深い愛を抱いていた。他者と交わる運命を背負うよりも、むしろ己とともに歩むことに、悦びを見いだす青年であった。

Hatsu

▼ 玉木雄一郎は、自分自身に深い愛を抱いていた。他者と交わる運命を背負うよりも、むしろ己とともに歩むことに、悦びを見いだす青年であった。

　国会の喧噪を遠くに感じ、首班指名選挙が近づくなか、彼は自らの未来を定めていた。

　――たとえどれほど誘われようとも、自身以外の誰かと政略結婚をすることなど、玉木の心には微塵も響かなかった。

▼ 「首班指名は、私自身に票を入れるのだ」

　――玉木は冷然と党内に指示を下した。彼の眼差しはいつも遠く、他の党首に対して興味を抱くこともない。

　そんな玉木に惹かれていた者がいた。立憲民主党の代表、野田佳彦である。

▼ ある夜、野田は玉木に密かに面会を求めた。「どうか、話し合いの場を設けていただけないだろうか」と。

　しかし、玉木は冷淡に答えた。「私は既に、自らと生涯を共にすることを心に決めた。お見合いも、話し合いも無駄だ。野田、何を話そうと変わらない。」彼の断固たる言葉に、野田は深い落胆を隠しきれなかった。

　しかし、時が経つにつれ、玉木にも心が揺らぐ時が訪れる。政界の複雑な策謀が、彼の信念に重くのしかかるのだった。

▼ 首班指名選挙の当日、思わぬ状況が玉木を襲った。国民民主党に対する圧力が強まり、玉木の純粋な自愛も政略の渦に飲み込まれていく。

　最終的に、彼は自由民主党の石破茂との政略結婚を受け入れる決断を迫られた。あの石破茂――威厳と冷徹を兼ね備えた政治の重鎮である。

　玉木はその場に立ち尽くし、思わず心に叫びを抱えた。「私のこれからの将来は、ずっと石破のお人形なのだ…」

▼ 玉木の胸中に絶望が押し寄せる中、政略結婚の式は急遽準備され、彼は花嫁のような白いタキシードに身を包んでいた。

　玉木の唇が石破のそれに触れようとした瞬間、突如として一陣の風が式場に吹き込んだ。

▼ 「玉木君、来たまえ！」と声が響き、玉木は一瞬で連れ去られた。騒然とする会場を後にし、彼を攫った男こそが、日本維新の会の代表、馬場伸幸であったのだ。

▼ 馬場は静かに微笑みながら言った。「君には、もっと自由が似合うはずだ。君と私には、共に目指す未来がある。政策で一致できる点もあるし、何より君の信念を尊重する国民のために、君自身があるべき姿でいるべきだ。」

▼ 玉木は驚愕しながらも、馬場の手の温かさに気づいた。いつしか彼の心には、政略から解放され、自らの意志を貫く新たな希望が灯っていた。

　二人の視線が交わるその瞬間、玉木は自らの中に湧き上がる新たな感情を確信した。彼はもはや、誰かの操り人形ではない。彼は国民に約束した、現実的な政策を掲げる若きリーダーとして、そして馬場との新たな未来に向けて、再びその歩みを進め始めたのだ。

▼ やがて二人は愛に落ち、玉木と馬場は政界の荒波を越えて共に歩むことを誓う。玉木は自らの道を見つけ、馬場と共に幸せな生涯を送るのであった。

▼ ――この物語は、愛と信念が、如何なる政略にも屈しないことを教えてくれる。玉木の心に残るのは、ただ一つの言葉であった。「私は私の信念と共に、そして愛と共に、生きるのだ」と。

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